第6回インディーズアニメフェスタ イベントレポート
2008年3月15日(土)三鷹市芸術文化センターにおいて第6回インディーズアニメフェスタが開催された。今年で6回目を迎えるインディーズアニメフェスタとは、将来アニメーションに関わる様々な才能の発掘を目的として企画されたものであり、セル、CG、人形、クレイなどアニメーションであればその表現方法は問わないという門戸の広いイベントである。そのため過去には、塚原重義氏の「ウシガエル」や丸山薫氏の「吉野の姫」などのFlash作品がグランプリを獲得している。また昨年松倉賞を受賞したHTMK氏の「5iVESTAR」なども記憶に新しい。そこで今回は受賞作品の講評を中心に本イベントの模様をお届けする。
個人制作アニメスタジオ石川プロ制作によるオープニング上映からスタートしたイベントは三鷹市長の挨拶をはじめ、ノミネート作品の上映会、審査員による講評、インディーズアニメの魅力をテーマとしたシンポジウム、三鷹市にある国立天文台による4次元デジタル宇宙プロジェクト映像の上映、授賞式が行われた。今回参加された審査員は、アベ正己氏、岡迫亘弘氏、金山明博氏、渡辺純央氏の4名。
審査員による全体講評として、アベ氏からはこれほどすべての作品がクオリティが高いとは思わなかったことが語られた。岡迫氏はプロとしてスケジュールに追われながら作っている自身と比較して楽しそうに作られていることに羨ましさを感じたことを語られた。金山氏は全体を通してみてクオリティが高く選考に迷ったそうである。また渡辺氏は映像的には優秀であるが自主制作系で見られる音響の弱さを指摘し、音響面の充実を図ることのアドバイスが語られた。大賞および審査員賞の受賞作品および審査員各氏からのコメントは次の通り。
◆三鷹賞<大賞>:『福来町、トンネル路地の男』 (岩井澤健治)
「技術的にも高く細かいところまで全部手書きでやってしまうところは、プロが見てもすごい。ライブアクションを越えたアニメーションといわれるくらい、技術的に飛び抜けている。」(岡迫氏)
「人物だけでなく背景もバランス良く取れている。非常にインパクトが強い。」(金山氏)
「独特な世界観を持っているしモノトーンの処理が上手で、作画と演出がすごくマッチしている。」(アベ氏)
「こういう物語でありながら筋立てやオチなどシナリオ的に見てもまとまっており、演出や音響もきちっとしている。減点するモノが見あたらない。」(渡辺氏)
◆アベ正己賞:『彼らは、』 (伊藤公規)
「美術も良いしセリフがない分音楽と良くマッチしており情念を感じる。その情念にこちら側は想念を感じて見させてもらった。なかなか良い作品に仕上がっていると思います。」(アベ氏)
「絵もキレイですし、カメラワークも良かった。普通マルチの撮り方は難しいがプロっぽさを感じた。それと水の映像に情感を感じた。」(岡迫氏)
「音響効果が非常に優れている。特に孤独感を雨や波の音で出しており心に残る。外の雨が床まで影として映っているシーンは見事。」(金山氏)
「技術的に見るとほぼ完璧であるが、都市生活者の孤独は描き尽くされたテーマであるのでもう一押し何か必要じゃないかと思う。孤独でなくなるということは何を求めているのかということからドラマが生まれてきて欲しい。」(渡辺氏)
◆岡迫亘弘賞:『CUT』 (さかしたのぶよし)
「一発芸のような面白さがあり、短い作品ですけどアイデアが良く凄いインパクトがありました。」(岡迫氏)
「独特な動きのこだわりも見え短編としては良くできているが、色を変えるとかもう一捻りほしかった。」(アベ氏)
「発想がすごく良い。女性が出刃包丁を持って横切っていくシーンが恐かった。」(金山氏)
「4コママンガのように最後のオチが見事につき、それでいてちょっとブラックで非常に面白かったと思います。」(渡辺氏)
◆金山明博賞:『mama & marmalade & me』 (山下順平)
「たった一つのことにずっとこだわっていくのは個人的に好きでありリズム感もある。スタイリッシュで流れが良く、ミュージカルを見ているような感じになる。」(金山氏)
「動きにリズム感があるのと音楽がイイ使い方をしている。体全体を動かしているのでキャラクターは書き込んでないのに伝わってくるモノを感じた。」(アベ氏)
「キャラクターを影絵のようなシルエットで動かしている。アニメで一番難しいのは、シルエットで何をしているのかわかるような動きを描くことであるが、そのシルエットを上手く使ってこれだけモノができるのは素晴らしい。」(岡迫氏)
「画面設計・美術が素晴らしい。テレビアニメの世界では決まり切った美術設計や様式になりがちであるが、美術がしっかりしていると見た瞬間にどの作品かが分かる。時間が全くかからない差別化ができる美術の大切を思い出させてくれる。」(渡辺氏)
◆渡辺純央賞:『shift』 (八木智子)
「描かれたモノが動いていくというアニメーションの原点であることを思い出させてくれる。そういった原点回帰だけじゃなく完成度が高いスタイルでまとまっている。凄まじい手間になるこのスタイルを選択したことは賞賛に値する。」(渡辺氏)
「幻想的でオシャレに仕上がっていて緩やかに右にフォローしていく部分が見やすく良くまとまっている。」(アベ氏)
「全部ワンカットで見せるというアニメの原点を考えさせられた。」(岡迫氏)
「手書きアニメの面白さが出ている。変なモノを幸せにしていってしまうような過程があるが、あそこにもう一捻り欲しいかなという気がします。」(金山氏)
◆特別賞:『PRESENT』 (翠緯泰)
「かなり手間暇かけて作られた作品で美術設計も素晴らしく、プロに近い仕上がりで感心して見ました。」(アベ氏)
「チェコの人形アニメのような雰囲気があり温かみを感じた。」(岡迫氏)
「設定のすごさに驚いた。全体を見ていくと何とも言えないもの悲しさに包まれた。」(金山氏)
「これだけの尺をあえて立体アニメでがんばり通す大変さを考えると頭が下がる思いがします。様式もしっかり考えており内容的にも良くまとまっています。」(渡辺氏)
3月 18, 2008 イベント, レポート
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