現在、世界中で感染の拡大を続けているH5N1型鳥インフルエンザウイルスは強毒型です。弱毒型の鳥インフルエンザなら、感染は呼吸器や腸管にとどまるので、部分的な局所感染しか引き起こしません。しかし、強毒型の場合、ウイルスは血流にのって体中に運ばれて全身感染を引き起こし、ニワトリなら、1~2日でほぼ100%殺してしまいます。
発症した鳥は、全身の組織や血液で、ウイルスが増殖して体中の臓器から出血し、脳炎や、特に腸管で強い炎症を起こします。そして糞便の中には、数千万から数億個もの大量のウイルスがあり、それが他の鳥への感染源になっていくのです。
このように、鳥に対して全身感染を引き起こし、ニワトリの場合、致死率がほぼ100%という強毒型の鳥インフルエンザウイルス。弱毒型のそれとは、まったく別のものであるという認識を持ったほうがよいでしょう。
もしも、この強毒型の鳥インフルエンザウイルスが、人から人に感染する新型インフルエンザウイルスに進化したら、どうなるか想像してみてください。2002年に米国で284人の犠牲者を出した西ナイル熱や、2003年に世界中が大騒ぎとなったSARSなどとは比較にならない、人類最大の危機に直面することは間違いないのです。
ここで強調したいことは、スペインかぜをはじめとする過去の新型インフルエンザに変異した鳥インフルエンザウイルスは、すべて弱毒型だったということです。全身感染ではなく、毎年流行しているインフルエンザと同じ呼吸器に限られた局所感染のみだったにもかかわらず、多くの犠牲者が出たのです。
もし、次に現れる新型インフルエンザが、強毒型の鳥インフルエンザから変異したとしたら、その脅威は、最も被害が大きかったスペインかぜよりもはるかに深刻なものになることは間違いありません。そして現在、世界中で広がりを見せているH5N1型の鳥インフルエンザウイルスは、強毒型なのです。
現在のH5N1型鳥インフルエンザウイルスの大流行は、2003年から始まりました。韓国やベトナム、台湾などで発生したという報告が相次ぎ、2004年1月後半になるとタイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、中国など、東アジアを中心に拡がっていきました。
日本でも2004年の1月に山口県で、さらに2月には大分県や京都府でもニワトリの間で流行しました。これらの養鶏場でバタバタと死んでいくニワトリからはH5N1型鳥インフルエンザウイルスが検出されたのです。防護服に身を包んだ作業員がおびただしい数のニワトリを殺処分して、大きな穴に埋める様子が報道されました。
幸いにも日本や韓国では、迅速な対応のおかげで感染を拡大させることなく、初期の段階で封じ込めに成功したのですが、その他のベトナムやタイ、インドネシア、中国などの国々では、対策が不十分だったたま、封じ込めに失敗してしまいました。そして、今でも感染が拡大し続けているのです。
これまで感染地域で1億8000万羽以上の鳥が死亡、または殺処分されたといわれています。しかし、H5N1型鳥インフルエンザは、専門家が予想していた以上の速さで、感染地域の拡大を続けています。2004年末には東南アジアが中心でしたが、2005年の秋ごろから南シベリア、中東からヨーロッパへと拡がりはじめ、2006年になってからは、インドや政情が不安定で対策も充分になされていないアフリカ大陸にまで、ついに拡大してしまいました。今までは、WHOをはじめ、各先進諸国の関係機関などが中心となり、何とか感染拡大を防ごうと必死になって努力してきました。しかし、もはやH5N1型鳥インフルエンザウイルスを制圧することは不可能な状態になってしまったのです。
















鳥への強毒性=人への強毒性も確実という論調は感心できません
投稿: | 2006.06.18
新型インフルエンザのことをネットで調べて
いて、このサイトにたどり着きました。
こんなに詳しく新型のことを書いているサイ
トは他にはないので、一気に公開分を読んでし
まいました。「新型インフルエンザ」で検索す
ると、厚生労働省や各県のサイトが最初に引っ
かかりますが、もう一つ何が怖いのか分かりま
せんでした。この記事を読んで、本当に怖いウ
イルスなんだと思いました。わたしたちが、ど
ういう備えをすれば良いのか、どうぞ具体的に
教えて下さい。
投稿: | 2006.06.19